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◇寒さの影響(ボール編)

2026.01.23

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「昔の方がモノが良かった。」というベテランの声から、季節による物理的な変化まで、順を追って解説します。

​1. 「昔のボールの方が良かった」という人の正体

​これには、「品質」と「プレースタイルの変化」の2つの側面があります。

  • 天然ゴムの質の変化: 40〜50年前は、現在よりも良質な天然ゴムが豊富に使われていました。現在のボールはコスト削減や耐久性向上のため、合成ゴムを混ぜたり、フェルト(メルトン)の質が以前と異なる場合があります。昔の高級ボールは「しっとりとした柔らかさ」と「芯のある打感」を両立していたため、それを懐かしむ声が多いのです。
  • 「白ボール」の存在: 50年ほど前までは白色が主流でした(1972年に黄色が導入され、ウィンブルドンでは1986年まで白でした)。白ボールはフェルトの染料の関係で、現在の黄色(オプティック・イエロー)よりも打球感が柔らかかったという説があります。
  • 価格の変化: 20〜30年前、日本で最も普及していたダンロップの「FORT(フォート)」は、1缶(2球入り)で600円〜700円程度でした。現在は物価高の影響もあり、1缶800円〜1,000円近くまで上がっています。価格が上がったのに「昔のような満足感がない」と感じるのも、不満の一因かもしれません。

​2. ボールの規格の変化(大きさ・色・内圧)

​実は、ボールの基本的な規格(直径や重さ)は数十年前からほとんど変わっていません。しかし、いくつかの「微調整」が行われています。

項目

変化の内容

1972年にテレビ中継での視認性を高めるため、「オプティック・イエロー」が承認されました。それ以前は白や黒でした。

重さの許容範囲

2000年に、ITF(国際テニス連盟)は重さの範囲を「56.7〜58.5g」から「56.0〜59.4g」へとわずかに広げました。

サイズ

(直径)

基本は6.54〜6.86cmですが、2000年代に「Type 3」という約6%大きいボールが導入されました。これはサーブの速度を落とし、ラリーを長くするために開発されたものです。

内圧(プレッシャー)

基本的な設定は変わりませんが、高地用(空気が薄い場所用)の低圧ボールなどが公式に規定されました。

3. 季節による「弾み」と「打感」の変化

​日本の四季は、ボールにとって非常に過酷な環境です。これには物理的な理由が2つあります。

​① ゴムの硬度(打感の変化)

  • 冬: ゴムは低温になると硬くなります。そのため、冬のテニスではボールが「カチカチ」に感じられ、腕への衝撃が強くなります。
  • 夏: ゴムが柔らかくなり、ボール全体がマイルドな打感になります。

​② 内圧と気圧(弾みの変化)

ボールの弾みは、中に入っているガスの膨張率に左右されます(シャルルの法則)

    • 夏: 気温が高いとボールの中の空気が膨張し、内圧が高まります。そのため、「夏はよく弾み、よく飛ぶ」ようになります。
    • 冬: 気温が低いと中の空気が収縮し、内圧が下がります。さらに空気密度も高くなるため空気抵抗が増え、「冬は飛ばないし、弾まない」状態になります。

豆知識: 冬場、缶を開けたばかりのボールが弾まないときは、ポケットに入れて体温で温めるだけで、驚くほど弾みが改善します。

 

​まとめ

​ベテランの方が言う「昔の方が良かった」は、あながち気のせいではなく、昔の贅沢な素材使いや、今の高速化したテニスに合わせた硬めの設計に対する違和感かもしれません。

​次にコートへ行かれる際は、ぜひ「今日の気温なら、いつもより少し飛びすぎるかな?」と予測してプレーしてみてください。

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